『二人三脚で治すアトピー―治療の最前線から』    玉置 昭治

取り立てて特別なことがらが書かれているという印象はありませんでしたが、著者が実践する『脱ステロイド』という言葉はいきなりステロイドを一切止めてしまうことではなく、むしろステロイド漸減療法という方が言葉から受けるイメージと実際とは近いと思いました。

著者が淀川キリスト教病院に長く勤められていたせいかもしれませんが、アトピー治療に関しては『養生』をすることが道徳的に語られられているように思えます。『養生』については、前回書きましたように、病気や症状が悪化するとアトピーに限らず常識的にご自愛ください、という意味です。著者は早寝早起き、バランスよく食べる、といったことを強調しています。
それが主要因でアトピーが治るようなイメージを本を読んだ人は持ってしまうのでは?と思うのですが、著者はステロイド外用薬や保湿剤を使うことは否定していませんし、むしろステロイドを使うべき状態に使うことを肯定しています。

確かに著者が指摘しているように、我々の生活状況は昔に比べて不規則になっています。交代勤務が増えたり、ジャンクフードも多くあるし、子供も遅くまで起きているようです。そういう不健康な生活に傾きがちな我々が、病気をきっかけに身体を休ませ養生する機会としては、著者の主張は良いのでしょう。でもアトピーに限らず病気全般に言えることでしょうし、皮膚科学会のガイドラインでも同様に書かれていることでしょうから、必要以上に強調しなくてもいいのではないかしら、と思います。

著者は『脱ステロイド』を提唱されていますが、気になる箇所がありました。

『アトピー治療革命』の著者で友人である皮膚科医が適切にステロイドを使うガイドラインに沿った治療を行わなかったとして約640万円を支払うよう命じた判決が(おそらく2005年)6月16日にあったことです。(p83)

アトピー性皮膚炎の髙山家さん、とんでん小児科ウェブ診察室さんの話題の医学情報によると、都内の医院でアトピー治療を受けたが逆に悪化した、その後金沢大学の竹原ドクターへ受診して改善したようです。
『脱ステロイド』というと、ステロイドがネガティブに思えてしまうイメージを私は持つのですが、普通にバランスよく保湿剤、ステロイド外用薬を使って、そして基本的な日常生活を送ることが大切なのでしょう。

 
■本レビュー 清風堂書店出版部 (2008/02)

 
 

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コメント / トラックバック1件 to “『二人三脚で治すアトピー―治療の最前線から』    玉置 昭治”

  1. 「恐怖商法」に法の網を! « アトピーを考える  Says:

    […] メーカーが敗訴となった裁判の判例では、その理由として、「当該サプリメントの効果を信じて使用したために、適切な治療の機会を奪う」ということがあげられました。アトピーの裁判でもステロイドを使うべき時に使わなかったとして『脱ステロイド』が認められなかった判例があるようです。(こちら) […]

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